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「ビレン 色彩学の謎を解く」読了

ビレン 色彩学の謎を解く―人類の福祉向上のための色彩心理学と色彩療法

ビレン 色彩学の謎を解く―人類の福祉向上のための色彩心理学と色彩療法


この本は色彩学では有名なフェイバー・ビレン氏の著作で、原著は1978年に出版されました。
タイトルは「Color & human response」というものだったのですが、なぜか本書のタイトルはビレン先生が色彩学の謎に敢然と立ち向かっているかのような若干恥ずかしい壮大なものになっています。
本書では色彩と人間との関わり方の歴史を俯瞰できるような、いわば「色彩と人間の歴史物語」のようでもあります。
記されている内容は多岐に渡り、古代の人間が色彩に対して持っていた神秘感や宗教的意味に始まり、色彩を科学的に研究した先人達の偉業、そしてオカルトにいたるまで様々です。
どっちかっていうとオカルトちっくな話題の方が文章に熱がこもっているように思えるのは気のせいでしょうか。
ところで、現代人に対する自然光の必要性を記した項でこんな記述が登場します。

今後何十年もしないうちに、人々は新発明の動く住居を走らせて広漠とした大自然に入りこみ、透明なプラスチック・シェルから見える荒野を指さして子供たちにこう告げるだろう。
「君たちには信じられないだろうがね。われわれのご先祖さまは、あんな野外で生活していたものさ」

ビレン先生、夢見すぎです。
1978年から30年以上経った今でも動く住居に住んでいるのはハウルくらいなものです。
とは言え、このような著者の豊かな想像力や、懐の深さが本書を名作にしているとも言えるんじゃないですかね。
もちろんオカルトばっかじゃなく、現代でも通用する色彩学の知識もちゃんと記されているので一安心です。
というわけで、色彩学もしくは少年の心を持つビレン氏に興味のある人にはおすすめですね!